2016年 03月 23日
中里和人さんの写真展「惑星 Night in Earth」を見ました。 |
https://www.facebook.com/events/1770366413184286/
奥野ビルは昭和7年築、このビルも必見です。
中里さんの写真はもう長い事見ていますが、今回の作品はかなり面白いです。最高傑作かもしれない。
闇シリーズはもう10年も撮り続けているようですが、はじめの頃ULTRAというタイトルで発表された、遠くの街の明かりや微弱な月明かりでかすかに色の濃淡があるがしかしほとんど真っ黒な写真を拝見し、これ以上映し出すものがない究極の闇世界まで行ってしまった中里さんはこれから一体何を撮るのだろうか、と心配していましたが(嘘です)、今回更にその先のレベルまで達しています。これまで中里さんの写真には必ずという程登場していた「人の気配」も、「惑星 Night in Earth」では見当たりません。あるのは黒潮の通り道沿いの闇夜の海岸の岩と水と、あとは霧や水蒸気です。
これまで地球を撮った写真家は地上の可能な限り高い地点まで登り、重たい機材も一緒に担ぎ上げて雄大なスケールを写してきました。中里さんがレンズを向けた「惑星」は雄大な大自然ではなくて、海岸線で月明かりにかろうじて浮かび上がる足元の岩場や水面や空気です。「足元の見えないものを撮りたい」とそんな事を確か言っておられたような。足元を見ようとするそのぶれない視点が中里作品に一貫して流れる魅力なのかも知れません。
もう1点驚くのは、EOS35mmフルサイズセンサーに記録された画像をインクジェットで出力した、そのプリント精度の高さ、美しさです。カメラ技術、プリント技術の向上具合を計れる極限の写真とも言えるかも。
いずれにしろ、いろんな意味で極限まで行き着いている仕事だと思います。
by ito-kan
| 2016-03-23 01:09